はじめまして

はじめまして。栄吉の孫です。安田栄吉商店の第一弾プロジェクトとしてSusumu’s TIEをスタートすることとなりました。どうぞよろしくお願いします。

紳士の嗜(たしな)みだなんて仰々しいですね。しかしこれは切実なテーマです。なにしろ嗜みを教えてくれる仕組みが無いのですから。女性向けのファッション誌が数え切れないほどあるのに、男性向けのそれはほんの僅か。デパートのフロア構成も女性向けが7フロアで男性向けは1フロアかせいぜい2フロアなんて状態。ネクタイなど成人式か卒業式に身に着けたきり、という方が大勢いると思われます。

かつてスーツのイロハは、祖父や父から次の世代の子へ伝承されるものでした。仕事や冠婚葬祭といった日常の風景を通じてリレーされ、常識とか教養の一部としてカウントされていたものです。しかしいまやその価値観は完全に過去のものとなりました。

銀行でさえドレスコードを廃止する今、若手にスーツや紳士向けの服飾の作法を教えてくれる人は絶えてしまうでしょう。

僕がスーツで仕事をしているとき、同僚や取引先から、かなりの頻度で「きちんとしていますね。」とか、「いいものを身につけていますね。」と声をかけられます。そう言われて嫌な気持ちになる人はいません。僕はとてもいい気持ちになります。

そんな僕はいつも英国式のネクタイを身に着けています。きちんとしていたいからです。英国式のレジメンタルは他人から見たとき片仮名の「ノ」の字で、アメリカ式はその逆です。じゃあアメリカ式がきちんとしていないかと言うと、全くそんなことないです。ただしブルックスブラザーズが茶目っ気で縞を反転させたのが発端なんですから、存在自体に軽やかさや若さが込められています。